旅行医学

【 旅行前の準備と荷づくり】

 近年、リラックスのため、健康増進のためと、海外旅行を楽しむ中高年が増えています。旅行には、体の免疫力を高める、ストレスを軽減する効果があることも、中高年のレジャーとして定着した一因です。しかし、見逃せないのは旅行中のけがや病気が増加しているという事実。病気やけがのリスクをどう避けるか、万が一起こったときはどう対処するのか。こうした旅先での健康上のリスクを扱う新しい医学分野が、旅行医学といわれるものです。
  旅先での「もしも」に備えるという意味で、予防医学の一つともいえます。
  快適で安全な旅にするためのスタートは旅の準備です。旅先では普段より多く歩くので、まず大切なのが靴選び。足に合わない靴は靴擦れ、ひざや腰の痛みにもつながります。ヨーロッパの石畳の道路で転び、足首や手首を骨折する日本人旅行者は少なくありません。旅行用の靴は履き心地が良く、滑りにくい靴底のウオーキングシューズが最適です。脱いだり履いたりするのが便利なサイドジッパータイプもいいでしょう。スプリング効果のある中敷が敷かれた靴だと、足が疲れにくいというメリットがあります。
  気候や気温がはっきりわからないということで困るのが持っていく衣類です。さまざまな衣類を持っていけば安心。とはいえ、重い荷物を持っての移動は疲労も大きくなるので、必要最小限にしたいもの。寒い地域に行く場合は、軽く、速乾性のある防寒用の下着が便利です。また折り畳み傘を入れるのを忘れずに。

  海外旅行で必ず用意したいのが、鎮痛剤、風邪薬、整腸剤の3種類の薬です。胃腸の調子が悪くなった、熱が出たといった体調不良はよく起こりがちなトラブルです。飲みなれているものなら、処方薬、市販薬のどちらでも構いません。このほか、持病のある人は、普段飲んでいる薬を旅行日数より5?7日間余分に持っていきましょう。
  下痢のときは水分と塩分の補給が大切。それに備えて粉末のスポーツドリンク剤を持参しましょう。現地で購入したミネラルウオーターに溶かして飲みます。
 また、塩味の粉末スープを薄めに作って飲むのも効果的です。


監修/篠塚規 日本旅行医学会専務理事、オブべース・メディカ専任医師。 02 年、日本における旅行医学への貢献が認められ、ヨーロッパ旅行医学会からユリシーズ賞を授与。国際旅行医学会正会員、国際登山医学会正会員。
日本旅行医学会ホームページ  http://www.jstm.gr.jp

[2007.7.10 up]