健康豆知識

【メタボリックシンドローム】

内臓脂肪の蓄積が 生活習慣病の入り口

 内臓脂肪型の肥満に、高血圧や高脂血症、高血糖が重なった状態をメタボリックシンドロームと呼びます。個々の数値は高くなくても、複数が重なると動脈硬化を促進。心筋梗塞(しんきんこうそく) や脳梗塞といった生活習慣病の発症リスクを高めます。これがメタボリックシンドロームの怖さです。
 この病態は、内臓脂肪と生活習慣病に関する研究が進んだ、1980年代に提唱された新しい概念。2001年に世界保健機関(WHO)がメタボリックシンドロームという名称と診断基準を発表し、一般に知られるようになりました。
 肥満には内臓のまわりに脂肪が蓄積する内臓脂肪型と、下半身の皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型があります。動脈硬化を促進するのが内臓脂肪型の肥満で、男性に多いとされます。2004年度の国民健康・栄養調査では、40〜74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロームかその予備軍であると発表されました。
 メタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲(へそ周り)で測る内臓脂肪蓄積が必須項目となっています。厚生労働省では、メタボリックシンドロームの考え方を健康診断に導入することを決めました。40歳以上の成人の基本健診の検査項目に、同シンドロームの基準となる腹囲などの測定を義務付けることになりました。
 内臓脂肪は皮下脂肪よりも体にたまりやすいものの、エネルギーとして燃えやすい性質もあります。つまり、日々の食事の改善や運動で容易に減らすことができるのです。腹囲は、体重、B MI (体格指数)、ウエスト/ヒップ比(おなかの出方の目安)と同様、自分で肥満度を知る指標となります。生活習慣を改善し、腹囲の計測を心掛け、メタボリックシンドロームの予防に役立てたいものです。


参考文献/内臓脂肪を減らす本(主婦と生活社)工藤一彦著、内臓脂肪は命の危険信号(小学館)栗原毅著、日本心臓財団ホームページ厚生労働省ホームページ

[2006.11.10 up]