健康豆知識

【冬の血圧 管理術】

部屋の温度差をなくし防寒対策を万全に

 体に酸素や栄養素を運ぶ血液。その通り道である血管の状態が、健康に保たれているかどうかを測る目安となるのが血圧です。
 血圧には個人差があり、さまざまな条件に影響されますが、季節によっても変 動します。普通、血圧は春から夏にかけては低めに落ち着き、秋から冬にかけて高くなります。
 寒いと体温を逃がさないように血管が収縮するため、血圧が上昇します。冬に血圧が高くなるのはこの ためです。もともと血圧の高い人は、この変動の幅が大きくなるので、普段より もさらに注意が必要です。
  寒い時期には、急激な温度差を体に与えないことが血圧の上昇を防ぐコツ。まず気をつけたいのが、暖房で暖まった部屋から寒い外へ出るときです。コート、 帽子、マフラー、手袋などで徹底的な防寒対策を心掛けたいもの。厚手の服1枚よりも、重ね着のほうが保温効果は大きくなります。
 また、冷たい空気を吸うことでも血管は収縮しま す。冷気を直接吸わないよ うに、風邪予防のためだけ でなく、血圧管理のために もマスクをつけるよう心掛けましょう。
  部屋による温度差をできるだけ小さくすることも大 切です。暖房で暖まった部屋から寒い廊下やトイレに出るときは、靴下を履いたり、まめにカーディガンな どを羽織ったりするのも有効です。できれば暖房器具を設置し、浴室と脱衣室の温度差をなくす工夫も必要 です。
  日本では冬にトイレで脳卒中を起こす人が少なくありません。これは暖かい部屋から寒いトイレへ移動することが一因ですが、トイレの様式も関係します。しゃがむ和式トイレは、座る 洋式トイレより腹圧がかか るため、排便時のいきみも より強くなり、血圧を大き く変動させます。
  尿意を我慢することも血圧を上げる要因に。布団の中が冷たいと尿意を覚えやすく、それを我慢すると血圧も上昇。寝る前に布団の中を温めておきましょう。
  意外に気をつけなければ ならないのが水仕事です。 掃除や食器洗いなどで冷た い水を使っても血圧は上が るので、できるだけ湯を使 うようにしましょう。


参考文献/高血圧の常識・非常識(西日本新聞社)土橋卓也著、名医の図解血圧を下げる生活読本(主婦と生活社)渡辺孝著、専門医が答えるQ&A高血圧(主婦の友社)平田恭信監修、高血圧の人の食卓(保健同人社)芦田映直・荒牧麻子監修

[2006.11.10 up]